「チラシを動画にするだけで、本当に売上が変わるの?」――そう思う方もいるかもしれません。

でも、ある地域のスーパーマーケットでは、まさにその“小さな変化”が来店率を1.23倍に押し上げました。

スーパーマーケットという業態には特徴があります。商圏が決まっていて、遠方からのお客さまを集めるのは難しい。だからこそ、「いかに身近な人に来てもらうか」「いかに繰り返し来てもらうか」が勝負です。ところが、その集客の要となる“チラシ”には、時代とともに限界が見え始めていました。

新聞の購読率は年々低下し、特に10代〜40代では「新聞を取っていない人」が圧倒的に多い。つまり、チラシを折り込んでも、若い世代には届かないのです。30代・40代の子育て世代を集客したいスーパーにとって、これは大きな課題でした。

そんな中で、このスーパーマーケットが取った施策は驚くほどシンプルでした。
「今あるチラシを、そのまま動画にして配信する」という方法です。
やり方はこうです。


チラシに載っている画像や商品写真を切り取り、スライド形式で数十秒の動画にまとめる。音楽やナレーションをつける必要もなく、画像を順番に並べるだけ。制作には1時間ほどしかかかりません。これなら、週ごとに更新される特売情報にもすぐ対応できます。

そしてもう一つの工夫が、“どこに配信するか”。
このスーパーは、TVer(テレビ番組の見逃し配信アプリ)のコマーシャル枠を使いました。TVerは地域や年齢で広告を細かく絞り込めるため、「自店の商圏内に住む人だけ」にピンポイントで配信できたのです。
結果は想像以上でした

広告費36万円で34,000人にリーチ。
そのうち2,900人が実際に来店し、購入に至ったそうです。来店率は1.23倍(23%増)。既存顧客に加えて、これまでチラシでは届かなかった若年層にもアプローチできたことで、売上が確実に伸びました。

この事例が示しているのは、「新しいことを始める」よりも、「今あるものを活かす」ことの大切さです。多くの企業が“動画広告は難しい”と感じていますが、実は既に持っているチラシや素材を少し形を変えるだけで、十分に効果が出せるのです。
しかも、この方法はスーパーマーケットだけに限りません。
たとえば、不動産業や学習塾、飲食チェーンなど、地域密着型で「若い層に届かない」と悩む業界にも応用できます。Facebook広告やGoogleディスプレイ広告などでも、地域を絞って配信すれば、同様の成果が見込めます。
動画の時代だからといって、必ずしも大がかりな撮影や編集が必要なわけではありません。

“伝えたい情報”を“届く形”に変える。
その発想さえあれば、どんなビジネスでも新しい風を起こすことができるのです。

「チラシを動画にする」という小さな一歩が、地域の人とお店をもう一度つなぎ直す。
そんな温かい改革が、これからの時代には求められているのかもしれません。

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